第1種換気の効果をQ値対コストの観点で検証します

第1種換気の効果がどれほどなのか検証します

新築住宅の温熱環境をよくするための方法として第3種換気から第1種換気を選択する方法も考えられます。しかし第3種換気にグレードアップするためには費用も相応に必要となってきますので、本当に第1種換気を選択して費用対効果はどうなのか疑問に感じてしまうこともあると思います。今回は第1種換気の費用対効果について検証していきたいと思います。

そもそも第1種換気とは?

第3種換気は機械で家からの空気の排出により家の中が負圧(気圧が少し低くなる)ことで吸気口から外気を取り入れる方法です。一方第1種換気は吸気も排気も機械で行います。大半の第1種換気システムには熱交換の機能がついていて、家の中の空気が冬は下がりにくく、夏は暑くなりにくいといった効果があります。

第1種換気を導入することによるQ値の変化

第1種換気を導入することにより、Q値がどのように変化するか計算してみましょう。計算方法は以下の記事の方法で行います。第1種換気システムはパッシブエネルギージャパン「せせらぎ」熱交換率93%・4基設置(消費電力7.2W)・有効換気率60%(根拠は後述)として計算します。

参考Q値Ua値を自分で計算してみよう

計算により第1種換気を導入した場合のQ値は1.83W/m2・Kとなりました。導入しなかった場合のQ値は2.03W/m2・Kとなります。第1種換気を導入した場合、おおむねQ値が0.2下がるといった計算結果になりました。家の全窓をアルミ樹脂サッシ複層ガラスからオール樹脂サッシ複層ガラスに変えたときもQ値が0.2ほど下がる計算結果となります。かかるコストは両方ともm数十万単位(50~60万円くらい?)になりますのでQ値対コストとしては同じくらいと言えます。

見落としがちな有効換気率

第1種換気システムを導入しても、家の中の空気の入れ替えすべてが第1種換気システムで行われるわけではないことを忘れてはいけません。「せせらぎ」などのダクトレス第1種換気システムを導入してもトイレは強制排気の換気システムが導入されます(そうでないとトイレのにおいが家に拡散します)また浴室も同様です。それに加え、気密性が高い家でもすきまがあり、そこからも空気は漏れます。(C値であらわされます)家全体の換気のうち第1種換気換気で行われている換気の割合(有効換気率)が少ないのならば、いくら高性能な第1種換気システムを導入しても効果が損なわれることになります。有効換気率がどの程度になるのか計算してみたのが以下の表です。

風量に関しては一般的な換気システムの風量で計算しています。レンジフードは料理をしていいる時間のうち1時間くらいは使用している計算です。風呂は入浴後の浴室を乾かす時間として12時間換気システムをつけっぱなしと考えました。トイレ2つあり、1つのトイレにつき1日6回使用し、使用時に換気システムが作動し10分のタイマーで自動でOFFするとして計算します。漏気量はC値0.5cm2/m2の漏気量を調べ入力しました。以上の前提条件から計算すると、第1種換気システム(せせらぎ)を我が新築戸建に設置すると、有効換気率はおよそ60%になると計算することができます。レンジフードや風呂、トイレの換気をより長く仕様すれば有効換気効率は下がることが分かります。

結論

第1種換気システムを導入することにより我が家ではQ値が0.2ほど下げることができるという計算になりました。これを数十万円のコストと比べて導入するべきかどうかと比べ、判断することが必要です。効果に比べコストが低いならば導入し、高いと感じるのであれば他の方法を検討するべきでしょう。第1種換気システムを導入しても家すべての換気が第1種換気を通るわけではありません。風呂やトイレ、レンジフードの使用時間が長くなる家庭だと、第1種換気の効果が大きく損なわれる可能性もあります。また、C値が低すぎる場合は漏気の影響ばかりでなく第1種換気がうまくいかない可能性もありますので導入するべきではありません。第1種換気の導入するか否かについては総合的に判断する必要があります。

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