Q値1.63(Ua値0.45)に必要な断熱仕様は?

Q値1.63(Ua値0.45)の住宅の断熱仕様の目安

断熱仕様を良いものにしたい。けれどそれにはコストがかかる。この悩みは必ず付きまとってきます。私が住宅を新築する際、断熱仕様とコストを天秤にかけて、最も折り合いをつけることができると判断したラインが、Q値1.8(Ua値0.52)でした。しかし、これは局所暖房を前提としています。全館暖房を行う場合は光熱費が高くなってしまい、もう少し断熱性能を上げた方がトータルで安くなると考えられます。今回は、全館暖房の光熱費と断熱性能への初期投資が同じくらいになると言われているQ値1.63(Q値0.45)程度を達成するために必要な断熱仕様を計算から求めました。計算方法は以下の記事の通りです。

参考 Q値Ua値を自分で計算してみよう

家の大きさ・間取り

家の大きさや形によってQ値やUa値は変化してきます。私たちが建てた住宅は以下の建物でQ値とUa値を計算していきます。
1階床面積47平米:リビング18畳・キッチン・玄関・土間収納・風呂トイレ
2階47平米、合計94平米:主寝室7畳・子供室4.5畳が2室・ウォークインクローゼット
総床面積94坪、29坪

断熱材

壁:硬質ウレタンフォーム105mm
屋根:硬質ウレタンフォーム300mm
床:カネライトフォーム90mm

エクセルシャノン防火窓(TGタイプ・トリプルガラス)熱還流率1.25[W/m2・K]

ドア

YKKのVENATO:D2仕様(熱還流率2.33[W/m2・K])

換気

第1種換気:PEJスーパー換気「せせらぎ」熱交換率最大93%

Q値1.63(Ua値0.45)とQ値1.8(Ua値0.52)の仕様を比較

以上のような断熱性能でQ値とUa値を計算するとQ値1.63(Ua値0.45)となります。

参考 Q値1.8(Ua値0.52)に必要な断熱仕様は?

上のページでQ値1.8(Ua値0.52)に必要な断熱仕様をまとめています。比較してみると、壁断熱:90mm→105mm、屋根断熱:200mm→300mm、床断熱65mm→90mm、窓を複層ガラスからトリプルガラスにグレードアップを行っています。

Q値1.63(Ua値0.45)の熱損失の内訳

上図は先ほど計算したQ値1.63(Q値0.45)の断熱仕様での熱損失内訳です。壁や床などの断熱材の厚みを厚くしたにも関わらず、まだまだ大きな熱損失は壁であるという計算結果になっています。壁の断熱材105mmというのは、通常の柱の幅いっぱいの断熱材が充填されていることになります。これ以上の壁断熱を求めるならば、柱の幅を太くする(120mm角)という変更が必要であったり、外断熱を検討する必要が出てきます。柱の幅を120mm角に変更するのはそこまでではありませんが、外断熱を付加することは一般的に高コストになることが多く、ある意味、壁断熱のコストパフォーマンスを考えたときの限界ラインはこのあたりかとも言えます。

結論

家の形や大きさ、間取りによって似たような断熱仕様でもQ値やUa値は変わってくるので一概には言えませんが、Q値1.6程度の住宅を建てようと思うならば、断熱材を厚くしたり、樹脂サッシを採用したり、場合によっては換気方法の検討も必ず必要になってくるでしょう。しかし、どの部分の断熱仕様をどの程度グレードアップすべきかは、グレードアップしたときに削減できる光熱費はどの程度なのかという観点からコストパフォーマンスも考えることができると良い選択ができるかもしれません。またそもそも本当に全館空調が必要なのか、家族の生活スタイルとともに検討しても良いのかもしれません。

参考 Q値1.8(Ua値0.52)に必要な断熱仕様は?

参考 Q値1.41(Ua値0.38)に必要な断熱仕様は?

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