Q値1.41(Ua値0.38)に必要な断熱仕様は?

Q値1.41(Ua値0.38)の住宅の断熱仕様の目安

断熱仕様を良いものにしたい。けれどそれにはコストがかかる。この悩みは必ず付きまとってきます。私が住宅を新築する際、断熱仕様とコストを天秤にかけて、最も折り合いをつけることができると判断したラインが、Q値1.8(Ua値0.52)でした。しかし、これは局所暖房を前提としています。全館暖房を行う場合は光熱費が高くなってしまい、もう少し断熱性能を上げた方がトータルで安くなると考えられます。今回は、全館暖房の光熱費がと断熱性能への初期投資がと比べて3分の2程度になると言われているQ値1.41(Q値0.38)程度を達成するために必要な断熱仕様を計算から求めました。計算方法は以下の記事の通りです。(HEAT20の5地域のG2基準は0.34、G1基準は0.48なので、G2とG1基準の間くらいです)

参考 Q値Ua値を自分で計算してみよう

家の大きさ・間取り

家の大きさや形によってQ値やUa値は変化してきます。私たちが建てた住宅は以下の建物でQ値とUa値を計算していきます。
1階床面積47平米:リビング18畳・キッチン・玄関・土間収納・風呂トイレ
2階47平米、合計94平米:主寝室7畳・子供室4.5畳が2室・ウォークインクローゼット
総床面積94坪、29坪

断熱材

壁:硬質ウレタンフォーム120mm
屋根:硬質ウレタンフォーム300mm
床:カネライトフォーム200mm

APW430 熱還流率0.90[W/m2・K]

ドア

YKKイノベスト:(熱還流率0.90[W/m2・K])

換気

第1種換気:PEJスーパー換気「せせらぎ」熱交換率最大93%

Q値1.63(Ua値0.52)Q値1.41(Ua値0.38)の仕様を比較

以上のような断熱性能でQ値とUa値を計算するとQ値1.41(Ua値0.38)となります。

参考 Q値1.8(Ua値0.52)に必要な断熱仕様は?

参考 Q値1.63(Ua値0.45)に必要な断熱仕様は?

上のページでQ値1.8(Ua値0.52)やQ値1.63(Ua値0.45)を達成するために必要な断熱仕様をまとめています。Q値1.63(Ua値0.45)と比較してみると、壁断熱:105mm→120mm、屋根断熱:変更せず300mm、床断熱90mm→200mm、窓をエクセルシャノン防火窓から防火窓ではないトリプルガラス(アルゴンガス入り)にグレードアップを行っています。(高断熱仕様の防火窓の開発を期待したいところです)

Q値1.41(Ua値0.38)の熱損失の内訳

上図は先ほど計算したQ値1.41(Q値0.38)の断熱仕様での熱損失内訳です。窓や壁断熱を強化してきたので、玄関土間の基礎立ち上がり部分の熱損失の割合が大きくなってきています。基礎立ち上がり部分の断熱を強化するためには、基礎断熱を付加する必要があり、一定のノウハウがある住宅会社にお願いしないとシロアリ等のリスクも伴います。玄関土間の基礎断熱を行うかどうかの判断は難しいものになるかもしれません。また、Q値1.63(Ua値0.45)の仕様と比べて、床断熱の厚みを90mmから200mmに変更しています。これはスウェーデンハウスで採用されている床断熱の厚みを参考にしています。これも住宅会社によって可能な厚みなのか相談する必要があります。

結論

Q値1.41(Q値0.38)の断熱仕様となると、全館冷暖房を導入しても光熱費が安く抑えられることが可能な領域に入ってきます。しかし、住宅の断熱仕様もかなりグレードアップが必要です。そのためグレードアップに必要な費用と冷暖房光熱費の比較が必要不可欠になってくるでしょう。こういった住宅を望むならば、冷暖房費用の試算やパッシブ設計にも精通している住宅会社に設計依頼をすることが望ましいと考えられます。高気密高断熱住宅に対して高い意識を持つ住宅会社も無いわけではありませんが少数派です。数ある住宅会社から高い意識や技術レベルを持つ住宅会社を見抜くことが必要となってきます。忘れてはならないのは高気密高断熱住宅の基準は無く曖昧で、低いレベルの住宅会社でも高気密高断熱住宅を謳う会社は山ほどあるということです。

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